『ニュー・シネマ・パラダイス』『WATARIDORI』『コーラス』の、名優にして名製作者ジャック・ペランから届いた素敵な贈り物、『幸せはシャンソニア劇場から』。その舞台は1963年パリ郊外、かつては賑わいを見せていたが、不況によって閉館を余儀なくされた“シャンソニア劇場”。長年この劇場を支え続けてきたピゴワルは、失業して泣く泣く息子と離れる羽目に。様々な困難に遭いながらも、我が子と再び暮らすために、劇場を取り戻すために、仲間と力を合わせて奮起する姿が涙を誘う。1929年にニューヨークで株価が大暴落、世界恐慌の波はフランスにも押し寄せていた。1933年にはドイツでヒトラーが首相に就任し、フランスも右派の台頭と左派“人民戦線”の攻防、労働者のゼネストや蜂起が起こり、忍び寄る第二次世界大戦の足音が街に暗い影を落とした。そんな時代背景は、現在の我々を取り巻く世情にもつながり、大きな不安の中でも、音楽や娯楽を求める様が共感を呼ぶ。実際に、1936年当時フランスに生きた人々も楽しんでいたこの頃のハリウッド映画は、バズビー・バークレーが振り付けをする華やかなミュージカル映画が一世を風靡していた。本作には、バークレーの振り付けや、往年の名作『天井桟敷の人々』にオマージュを捧げるシーンが盛り込まれており、作り手が時代と先人に敬意を表し、また映画を愛してやまないことを大きく謳っている。 監督は、大ヒット作『コーラス』に引き続きジャック・ペランとタッグを組んだ、彼の甥であるクリストフ・バラティエ。二人のもとには『コーラス』のスタッフ・キャストが再集結しただけでなく、クリント・イーストウッド監督の『ミスティック・リバー』以降の全作を手がける撮影監督トム・スターンが参加し、卓抜した撮影とカメラワークで時代の陰影を再現している。原案は、フランスの大御所作詞家フランク・トマと、映画や舞台音楽で活躍するラインハルト・ワーグナー。1930年代を舞台にした音楽劇を作りたいという彼らの企画を気に入ったペランとバラティエ監督は、“フォブール”というパリ郊外の架空の街を見事なパノラマに作り上げ、美しいメロディーの数々と、素晴らしいスタッフ・キャストで宝箱のような映画を作り上げたのだ。親しみやすい劇場の支配人を演じ、自らも歌声を披露するのは『コーラス』『バティニョールおじさん』でお馴染みの名優ジェラール・ジュニョ。同じく『コーラス』で、校門前で親を待ち続ける愛らしさで話題となったマクサンス・ペラン(ジャック・ペランの三男)が大きくなって、ジュニョ演じる父親を助けるしっかり者の息子を好演。そして、本作で新たなスターとして発掘された20歳の“歌う”新人女優ノラ・アルネゼデールが、その美貌と確かな歌唱力で大輪を咲かせる。芸達者な役者たちが高らかに歌い踊ると、そこには愛と幸せ、希望の光が降り注ぐ。 苦境にあっても力強く生きる親子、恋人、劇場を愛する仲間たちの人情味あふれる再生のドラマが、胸に響く音楽と共にドラマチックに紡がれる。パリの粋、やさしさ、心あたたまる感動が詰まった珠玉のフレンチ・エンタテインメントだ。
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