今年1月末、全米がアメフトのスーパーボウルに熱狂するさなかに封切られ、予想を大きく上回るオープニング成績で初登場1位を飾り、9週連続トップテン入りのロングランを達成、1億4000万ドル以上の興収を記録した『96時間』が遂に日本上陸。『グラン・ブルー』『レオン』『フィフス・エレメント』の監督として、また、『TAXi』『トランスポーター』といった人気シリーズのプロデューサーとして絶大なネームバリューを誇るヒットメーカー、リュック・ベッソンが製作・脚本を手がけたタイムリミット・アクション大作だ。誘拐をモチーフにした犯罪映画は数あれど、この『96時間』が話題騒然となったのは、かつて誰も見たことのない驚きに満ちたプロットを描いているから。最愛の娘が、異国の地で人身売買組織に拉致されるという非常事態。普通の父親ならば意気消沈して警察に助けを求めるのが関の山だが、本作の主人公ブライアンは全く違う。過去のデータから96時間以内に娘を助けねばならないと知った彼は、救出はまず不可能と思われる状況のなか、友人にさえ助けを借りずに敢然と単独での捜索を決意する。政府の秘密工作員として幾多の修羅場を潜り抜けてきた彼は、不可能を可能にしうる“特殊なスキル”を備えているのだ。常人離れした鋭い観察力と分析力、あらゆる突発的な事態に対処できるリスク・コントロール能力、そして、邪魔者どもを容赦なくなぎ倒す電光石火の戦闘術。そんなまさかの衝撃の嵐が吹き荒れるストーリーにぐいぐい引き込まれ、血が滾るほどの興奮を覚えずにいられない。 一度見たら忘れようのない強烈な主人公ブライアンを演じるのは、『シンドラーのリスト』でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、『マイケル・コリンズ』『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』『ラブ・アクチュアリー』『バットマン・ビギンズ』などの話題作でも知られる名優リーアム・ニーソン。これまでのイメージとはかけ離れた新境地に挑んだ彼は、普段は穏やかで心配性な父親が冷酷な追跡者へと変貌する様を圧倒的な存在感で体現。離れて暮らす愛娘が唯一の生きがいとなった父親の哀愁から一転、娘を誘拐した犯人への煮えたぎる怒りと執念をあらわにする極端な二面性を重厚に演じきっている。主人公にニーソンを起用したことが、この映画の最大の成功点とも言えよう。そして、ベッソンがメガホンを託したのは、“パルクール”と呼ばれる流麗なアクション・スタイルを導入した2004年のデビュー作『アルティメット』で注目されたピエール・モレル。怒濤のカーチェイス、銃撃戦、マーシャルアーツと緊張のドラマを見事に融合させ、理屈をこねずシンプルでストレートに攻める痛快なアクション・スリラーを撮り上げた。息もつかせぬ96時間の極限の追跡劇を、93分というコンパクトさで畳みかけるノンストップ&ハイスピードな演出が爽快である。 「娘を助けるためなら、エッフェル塔でも壊してみせる」と真顔で言い放つブライアンの暴走っぷりは、「24 -TWENTY FOUR-」で大活躍の“最強の父親”ジャック・バウアーも顔負け。走り出したら止まらない無敵オヤジにシビレまくりだ。
プレゼントの応募受付は終了しました! 応募締切:2009年9月23日(水)受付分まで有効。 当選発表:賞品の発送をもってかえさせていただきます。