2006年夏、単館公開からスタートした劇場版アニメーション『時をかける少女』は、口コミでロングランヒットとなり、国内外の映画賞を多数受賞。多くの人に愛される作品となった。あれから3年、『時をかける少女』を手がけ一躍注目を浴びたアニメーション監督・細田守が、満を持して送り出す最新作『サマーウォーズ』。キャラクターデザイン・貞本義行（『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』）、脚本・奥寺佐渡子など『時をかける少女』のスタッフが再結集したこの作品は、ふとしたことから地方都市の大家族に仲間入りした少年が、突如世界を襲った危機に対して戦いを挑む、全く新しい大家族アクション映画だ。物語は、冴えない少年・健二が先輩の美少女・夏希からバイトでフィアンセのふりをしてほしいと頼まれ、田舎の大家族の一員になることから始まる。そこから、彼らは予想だにしない危機と対峙し、大冒険に巻き込まれていく。本作において核となっているのは、ずばり「家族の絆」だ。インターネット無しには成り立たない現代社会で、OZのようなデジタル世界は決して絵空事ではない。そういったコミュニケーションツールを肯定しつつ、古来の家族の絆が持つアナログだけど普遍的なパワーを描き出す。どんなハイテクなネットワークより、家族という絆は何より強力なネットワークなのだ。エネルギッシュな「ご親戚」一同が一丸となって見せる活躍劇は、痛快の一言に尽きる。また、OZの世界でド派手に繰り広げられるバトルシーンも見もの。一方で、スタジオジブリ作品で知られる美術監督・武重洋二が手がけた、物語の舞台となる長野県上田市周辺の高原の風景や、昔ながらの日本家屋の趣深さも素晴らしい。懐かしさと今らしさが見事なまでに結び付いている。
ストーリーやテーマ性もさることながら、『サマーウォーズ』の最大の魅力は、主人公の健二と夏希をはじめ、彼らを取り巻く総勢27人（＋1匹）の「ご親戚」の面々がそれぞれに個性豊かで生き生きとしており、これだけの人数が登場するにも拘わらず好感の持てるキャラクター揃いであることだ。頼りなさげだが特技の数学が切り札となる健二、校内のアイドル的存在で天然ボケな一面もある快活な夏希、オタク少年に見えて実はパソコンの格闘ゲームの世界チャンピオンである佳主馬、陣内家当主だった大おじいちゃんの隠し子で風来坊の侘助、そして、大家族をまとめあげる大黒柱であり幅広い人脈を持つ栄おばあちゃん。このおばあちゃんの毅然とした態度や言葉は、劇中の家族たちだけでなく、スクリーンの前にいる我々をも元気づけてくれる。他にも、水産業経営者の豪傑な70歳・万助、息子の高校野球の結果に一喜一憂する由美、陸上自衛隊所属の謎多き理一などなど、サブキャラだとは捨て置けない人物ばかり。彼らの賑やかなやり取りは微笑ましくもあり、頼もしくもある。更には、人物だけでなくOZの中のアバターである「キングカズマ」や「仮ケンジ」らもキャラが際立っていて、ファンが増えそうだ。
細田監督は、またしてもアニメという枠を超えた、すがすがしく良質な夏物語を創りあげてくれた。前作『時をかける少女』からの期待を全く裏切らないクオリティの高さに拍手。『時かけ』同様、『サマーウォーズ』が「何度でも観たい映画」に加わることは間違いないだろう。

『サマーウォーズ』オリジナル・サウンドトラック／松本晃彦
2009年7月29日発売／VPCG-84899／バップ／￥2,500（税込）

サウンドトラックを担当するのは、『踊る大捜査線』（同作映画版では第22回・第27回日本アカデミー賞優秀音楽賞を2度受賞）、『Returner リターナー』、『GOEMON』など数多くの映画・ドラマの音楽を手がける松本晃彦。『サマーウォーズ』の世界観をエモーショナルに彩る！
詳しくはこちら⇒http://www.vap.co.jp

［ CHANNEL INFORMATION ］
夏だ！サマーだ！サマーウォーズだ！！
「サウンドトラック」chにて、『サマーウォーズ』オリジナル・サウンドトラックを大特集オンエア！
★CAN有線ch： E-5（関東）、E-4（関西）、E-16（九州）、E-10（中部・静岡）、D-14（新潟）、D-4（中国）、E-9（四国）、D-15（北海道・宮崎・鹿児島）　※東北・四国・沖縄地区では有線放送でのご視聴はできません。
★DiVA ch： 220
★OA日時： 8/8〜8/15、8/24〜8/31（0:00〜、6:00〜、12:00〜、18:00〜）
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