■FIVE NEW OLDってバンド名を最初聴いた時、「おっ!かっこいいな」って思ったんですよね(笑)。先ずはバンド名の由来を教えて下さい。
Yoshiaki(Ba.):その頃、ちょうど三つの単語をつなげてバンド名にするというのが流行っていて。
Hiroshi(Vo.・Gt.):それで分かりやすい三つの単語をつなげて語呂で選んだのがキッカケだったんですけど、後付けで色々な意味が入ってきました(笑)。
Yoshiaki:よく言われるのがFIVEなのに4人しかいないよね?とか(笑)。
■僕もそこは気になっていました(笑)。
Hayato(Dr.):(誰もいない空間を指さして)あれ?見えません?
一同:(爆笑)。
Yoshiaki:元々僕とHayato、HiroshiとWataruが違うバンドをやっていて、お互い自分達のバンドからもう一人入れたいっていう気持ちはあったので、最初は遅かれ早かれ5人になるというイメージだったんですよね。でも最終的に4人でスタジオに入って、話し合いもしていたので、もうこのまま4人でやろうかってなって。
Hayato:名前の意味がもっとなくなったなって(笑)。
Wataru(Gt.):せやったな(笑)。
Yoshiaki:なので、僕ら4人とお客さんで古いものを壊して新しいことをやろうよって。まぁ、大分後付けなんですけどね(笑)。
■(笑)。ではFIVE NEW OLDを知らない人に、FIVE NEW OLDってこんなバンドだよって簡単にご紹介をお願いします。
Yoshiaki:色々なジャンルを表現できるロックバンドですね。
Hiroshi:年上の人にはどこか懐かしいなと思われるようなサウンドだけど、平成生まれの人には新しいサウンドに聴こえるんじゃないかなと思います。
■みなさんの音楽的ルーツはどういった感じなんですか?
Hayato:メンバー全員に共通しているのはポップ・パンクですね。FALL OUT BOY とかALL TIME LOWとか。
Hiroshi:GREEN DAYとかね。
■そうなんですね(驚)!でも今の音と全然違いますよね?
Hayato:旧作から辿ってもらえるとしっかりそのエッセンスは感じてもらえると思います。今は、そこから色々なものを吸収したインナー・パンクです。
■インナー・パンク???
Yoshiaki:自分たちも年を重ねていくにつれてPUNKだけじゃなくて、SOULだったり、HIP-HOPだったり、R&Bだったり、色々なことを表現してきているんですけど、そういう音楽のエッセンスを取り入れたとしても、心の奥底にはPUNK魂をずっと持ち続けているので。それを僕らはインナー・パンクと呼んでいるんです。
Hayato:誰にも負けない一番良いものを作りたい、そういう精神ですね。
■なるほど!では2017年1月11日にリリースされる「WIDE AWAKE EP」についてお伺いさせて下さい。本作は、今のFIVE NEW OLDの勢いを感じさせる素晴らしい作品に仕上がっていますが、制作中はどんな作品を目指していましたか?
Hiroshi:僕たちの作る音楽って、夏とか、朝に聴きたい音楽だねって言われていて、まぁそれはそれで良かったんですけど、夜に友達と過ごしたりだとか、1人で考えこんだりだとか、ロマンチックになったりとか、そういう時にも僕たちの音楽を聴いて欲しいなと思って。それで今回は夜をテーマにした作品を作ってみようと思いました。
■タイトルの「WIDE AWAKE EP」に込めた想いは?
Hiroshi:「WIDE AWAKE」というのは、目覚めるとか気付くという意味なんですけど、僕自身すごく寝つきの悪い方で、夜になると色々なことを考えちゃうんですね。それで、僕が寝られないというのを裏テーマにしつつ、収録曲全てに「WIDE AWAKE」という歌詞を散りばめてみて。
Hayato:4曲とも違う意味で入れてみてな。
Hiroshi:それが4曲の共通項になっているので、今回はタイトルにしてみました。
■4曲とも違う意味っていうのが又面白いですね。日本語だとなかなか出来ないことですし。
Hiroshi:そうですね。日本語だと一つの意味になっちゃうから。
Hayato:4つとも違う意味というのは熱いよな。
Hiroshi:やっぱり日本語は情報量が強いので、英語でしか出来ないアプローチというのを考えたときに、言葉の意味が曖昧になるから聴き手が色々な受け取り方や解釈が出来るんじゃないかなと思って。そういうのは英詩の魅力ですね。
■歌詞は全部英語で書かれているんですよね?
Yoshiaki:元々洋楽への憧れが強いので、そういう中で自然と英語の歌詞になっているというのもあります。
Hiroshi:僕は洋楽をよく聴く家庭で育ってきたというのもあって、英語で歌う方がナチュラルな感じがして。
Hayato:後、俺は個人的に洋楽のメロディラインが好きで。それを上手いこと日本語ではめているアーティストの方もいらっしゃるんですけど、Hiroshiは俺の理想としているメロディラインを英語でしっかり歌えるシンガーなので。もしかしたらFIVE NEW OLDとして活動を続けていく中で、日本語の曲もいずれは歌うのかもしれないけど、やっぱり俺は英語をメインとして置いておきたいなって思っています。
■そして1曲目に収録された、今回のリード曲となる「Stay (Want You Mine)」ですが、制作はいかがでしたか?
Hiroshi:今回のEP全般的に言えるんですけど、サンプラーを使ってデモを作ってみて、一斉に演奏してバーンという感じではなく、ループしたビートの上にメロディを置いてみました。
Hayato:僕は叩き過ぎちゃうクセがあるので、レコーディングではあえて抑えてみて。なので、ライブでは全く別の「Stay (Want You Mine)」を考えています。
Yoshiaki:レコーディング自体はシンプルに、どうHiroshiのメロディを聴いてもらえるかという所を、サウンドとしては重点に置いています。後はさっきHiroshiも言っていましたけど、どこかで聴いたことがあるようで、今の世代の人には新しい。でも、誰っぽいと言われるようなこともなく、FIVE NEW OLDの音楽として成立させることは意識しています。
Hiroshi:サウンドスケール的には、85年~90年代頭くらいのサウンド。MICHAEL JACKSONの「Black or White」とか、MADONNAとかBACKSTREET BOYSとか、その辺を参考にはしています。
■そして「Stay (Want You Mine)」のMVですが、ワンカット撮影の凝った作品に仕上がっていますね!
Yoshiaki:Hiroshiが恋のキューピッドになっていてな(笑)。
Hiroshi:見える恋の配達員で(笑)。でも、一度配達し忘れてNG出しちゃって。
Yoshiaki:手紙を渡し忘れてな(笑)。
Hiroshi:まだ前半で良かったです(笑)。撮影はもっと苦労するかなと思ったんですけど、音が鳴った瞬間スッと入りこめたので。次回もダンスとか、今までやったことがないことに色々と挑戦してみたいですね。
■そして2曲目の「Hush Hush Hush」は打って変わって疾走感あるオルタナティブなロック・サウンドをまとった一曲です。
Yoshiaki:「Stay (Want You Mine)」では、バンド・サウンド以外のところに挑戦しているので、「Hush Hush Hush」は、しっかりとバンド・サウンドへのアプローチをしておこうと思って。
Hiroshi:それも、純粋に自分たちのやってきたことをもう一度やり直すんじゃなくて、今出来る形でブラッシュ・アップしたらどういうロック・サウンドになるのかな?というところに挑戦した楽曲です。昔からのファンには、ちょっとスマートになったなって感じてもらえると思います。
■3曲目の「P.O.M.」ですがこれは歌詞にも出てくるpart of meから?
Hiroshi:そうですね。Hayatoが気に入ってくれていた曲で、元ネタ自体はわりと昔からあって。僕自身も気に入っていたんですけど、良いリズムが見つからなかったので、ハウスのリズムをバンドで試したら・・・
Hayato:おおっ!てなってな。
Hiroshi:この曲が一番J-POPというか歌謡曲的なメロディを意識して作ってみて。Hayatoがすごい歌謡曲とか、日本のAORに詳しいので、色々教えてもらったんですよ。僕はこれまでにそういう音楽を聴いてこなかったので、歌謡曲を自分なりに解釈して、FIVE NEW OLDのサウンドとして表現してみました。
Hayato:Hiroshiは山下達郎さんとかがすごく好きなので、そういうテイストが入っているから聴きやすいのかなと。
■爽やかなギターサウンドからも、その片鱗を聴くことが出来ますしね。
Wataru:この曲が一番ギター・リフが多くて艶っぽく弾かないといけないんだけど、ちょっとリバーブがかっていて、もやっとした中に艶感があるというのは意識して弾いた部分もあるので、そう感じて頂けたんじゃないかなと思います。
Hiroshi:上ものは時代のリバイバル的なものを使うんですけど、ボトムスは今のクラブシーンにもあるようなしっかりとした低音、そのバランス感は意識して作っています。
■クロージングナンバーは「Burned in The Fire」です。こちらはまたバンド・サウンドを主体にしながらも、FIVE NEW OLDらしい洗練された楽曲です。
Yoshiaki:これが一番古い楽曲なんですけど、元々はお蔵入りになっていた曲で。やっと時が来たという感じですかね。
Hayato:「P.O.M.」とこの曲は、絶対に捨てたくない曲だったんですよ。
Yoshiaki:ただ当時出すにはちょっと早いのかな?というのもあって。元々の原型は3年くらい前からあったんですけど、それを今風にどうスタイリッシュに(HiroshiとWataruが)まとめるかというのは苦労したんじゃないかと思いますね。
Hiroshi:元々のアレンジがわりとかっちり出来上がっていたので、3年前の自分とどう引き離すのかということにはすごい苦労して。なので、僕というよりは僕じゃないアイデアが欲しかったので、この曲のサウンド・デザインはほとんどWataruがしてくれたって感じです。
■そして、2017年1月からゆかりのバンドをゲストに迎えての対バンツアー「WIDE AWAKE TOUR」の開催も決定しています。
Yoshiaki:ファイナルも自分たちの中では最大キャパの渋谷CLUB QUATTROでやらせてもらったり、今までのツアーとはまた違うアレンジだったり、新旧織り交ぜながらライブの良さと言うのを展開出来たらなと思っています。CDにはCDの、ライブにはライブの全く別の良さがあると思いますので、是非足を運んでもらえたらなと思います。
Hayato:CD以上のライブはしたいですね。CDの方が良かったねとか絶対言われたくないし、そういったものをちゃんと伝えられるパフォーマンスを見せたいなと思います。
Wataru:今回のレコーディングでは新しい機材を導入して作った曲も多いので、ライブでもその新しい機材を使ってCDとは違うアレンジで楽しんでもらえたらなと思います。
Hiroshi:今回のツアーでは、僕たちFIVE NEW OLDにしか出せない空気感を出して行きたいし、「WIDE AWAKE EP」のテーマが夜なので、全六ヶ所のツアーになりますけど、良い夜をみんなと過ごせたらなと思います。後、「WIDE AWAKE」には“気付き”という意味もあるので、2017年は僕たち自身も新しい扉を開いて行かないといけないし、それに応じて来年はもっと色々な人達に僕たちのことを気づいて欲しいなと思います。
■ありがとうございました!
(文:篠原 友)