『エターナル・サンシャイン』でアカデミー賞脚本賞を受賞し、その後も『ブロック・パーティ』『恋愛睡眠のすすめ』など話題作を立て続けに発表、今夏には、大都市・東京を独自の視線で描くオムニバス映画『TOKYO!』が公開された個性派監督ミシェル・ゴンドリー。奇想天外な発想とクリエイティブな映像で、どこか心温まる感動作品を作り続ける彼が最新長編『僕らのミライへ逆回転』で選んだ舞台は、DVDの台頭によってすっかり影を潜めたVHSテープしか扱っていない時代遅れのレンタルビデオ店だ。店に入り浸っては何かとトラブルを引き起こすジェリーに扮するのは、これまた個性派のジャック・ブラック。今年は『カンフー・パンダ』『テネイシャスD〜運命のピックをさがせ!〜』そして『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(11月22日公開)と出演作が目白押しで、まさに“JBイヤー”と言える大活躍ぶりである。本作でも、ハチャメチャなのに憎めない愛すべきキャラクターで本領を発揮し、笑いの渦を巻き起こす。ジェリーとは腐れ縁の相棒マイクに扮するのは、ヒップホップ界きっての知性派ラッパーとして知られる一方、『銀河ヒッチハイク・ガイド』『16ブロック』などの映画で俳優としても注目されているモス・デフ。狂言回し的な役回りのJBとの、ボケとツッコミのようなコンビネーションが絶妙だ。更に、ダニー・グローヴァー、ミア・ファローなど脇役陣も豪華。本家『ゴーストバスターズ』出演のシガーニー・ウィーヴァーが顔を出すのも心憎いサービスである。 本作の原題で、舞台となっているビデオ店の店名でもある「Be Kind Rewind」は「(テープ返却時には)巻き戻しお願いします」という意味。こんなフレーズも今やすっかり目にしなくなった。一昔前には、この店のような、町民がぶらっと立ち寄るアットホームなレンタルビデオ店があったものだと郷愁にかられる。劇中でリメイクされている映画も懐かしいものばかり。すったもんだのおバカな手作り映画制作過程はゴンドリーの遊び心に満ち溢れていて、とにかく可笑しい! 元の作品に忠実ではなく、うろ覚えで頑張ってリメイクしたけど何か違う?感じがたまらなくキュートだ。どんな映画がどんな塩梅にリメイクされているかは、本編でご確認あれ。チープでアナログなハンドメイドでも、アイデアを絞って何かを作りあげることはこんなにも楽しい。それをみんなで味わったらもっと嬉しい。本作は、デジタル全盛のハリウッドへの風刺も込められているが、何よりも古き良き時代へのノスタルジーと映画への愛がたっぷり詰まったチャーミングでハートウォーミングな珠玉のファンタジーコメディーだ。ゴンドリーの柔軟な発想力と表現力が光り、映画に限らず“ものづくり”の原点を喚起させてくれる。ちなみに、ジェリーが咄嗟の言い訳でリメイク作品を「スウェーデンから輸入してる」と言ったことからできた造語“スウェード版”が話題を呼び、YouTubeでちょっとした“スウェードブーム”が起きている。これがまた面白い!
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