史実に基づく感動のフライトアクション超大作『フライボーイズ』
第一次世界大戦時、自らの意思でフランス空軍に入隊したアメリカ人がいた。彼らは何を想い大空へと飛び立ったのか――。総製作費70億円をかけ、壮絶な空中戦が現代に甦る。ジェームズ・フランコ、ジャン・レノ共演で描く、史実を元にした感動のフライトアクション超大作!
1916年、第一次世界大戦が激化の一途をたどるなか、大国アメリカは参戦せず中立の立場を貫いていた。そんな折、テキサスの農場を差し押さえられ州外への退去を余儀なくされたローリングス(ジェームズ・フランコ)は、ヨーロッパで奮闘する戦闘機パイロットの勇姿を伝えるニュース映画に触発され、海を渡りフランスのラファイエット戦闘機隊に入隊する。そこで彼は、様々な理由でアメリカから志願してきた個性豊かな仲間たちと出会う。皆パイロットとしては全くの素人だったが、司令官のテノー大尉(ジャン・レノ)は彼らを温かく隊に迎え入れた。一方、新米パイロットが数週間しか生き延びられないことを知っている先輩パイロットのキャシディ(マーティン・ヘンダーソン)は、彼らに冷めた態度で接するのだった。ある日、飛行訓練中に不時着事故を起こしたローリングスは、助けてくれたフランス人女性ルシエンヌ(ジェニファー・デッカー)に一目惚れし、英語の通じない彼女に自分の想いを懸命に伝えようとする。そして、遂に彼らに初陣の日が訪れた。勇んで基地を発つが、数も質も勝るドイツ軍のフォッカー機は想像を遥かに越える強さだった。仲間の死にショックを隠しきれないローリングス。しかし、心身共に成長を遂げつつある彼らは2度目の出陣で敵を撃墜、パイロットとして着実に戦力となっていった。やがてドイツ軍の飛行船がパリに向かっているとの知らせが届く。パリ爆撃を阻止するため基地を飛び立ったローリングスらを待ち受けていたのは、これまで以上に過酷な戦いだった……。
第一次世界大戦時、アメリカが参戦する以前に、勇気あるアメリカ人がはるばる海を渡って志願兵として英仏連合軍に加勢し、戦闘機パイロットとして活躍していたことを知る者は少ないだろう。本作は、当時結成されたアメリカ初の戦闘飛行中隊“ラファイエット戦闘機隊”の実話に基づき、70億円の巨費を投じて描かれる戦争アクション超大作だ。1903年にライト兄弟が人類初の動力飛行に成功して間もなく、人類の夢のために発明された飛行機は兵器に取り入れられた。と同時に、歴史に“戦闘機乗り”という新しい英雄が誕生したのである。当時の複葉機はオープンコックピットだったため、操縦士たちは敵からの攻撃に完全に無防備な状態。脱出用パラシュートも装備されておらず、実際に彼らの戦場での寿命は僅か3〜6週間だったという。本作は、こうしたディテールを緻密にリサーチし、パイロットの日常から戦闘描写に至るまで徹底的にリアリティを追求している。最大の見せ場は、全編に盛り込まれたスカイアクションの数々。世界屈指の曲技飛行士たちの協力を得た実写映像と、最先端CG技術を融合して生み出されたアクロバティックな飛行シーンが縦横無尽に繰り広げられ、まるでその真っ只中にいるかのような臨場感だ。当時の空中戦は“最後の騎士道”とも呼ばれ、古き良き精神を残したものだった。敵対するパイロット同士が顔を突き合わせ、相手の技量と度胸に敬意を抱き、宿命のライバルとして火花を散らす。男たちの熱きドッグファイトには、美学やロマンすら感じられる。
監督は、『マイ・ボディガード』(80)、『忘れられない人』(93)など珠玉の作品を手がけてきた職人肌のベテラン、トニー・ビル。彼自身、曲芸飛行の免許を持つ飛行機野郎で筋金入りの第一次大戦オタクだというから、本作への力の込めようは納得だ。脚本は、アカデミー賞7部門受賞の名作『スティング』(73)の脚本を書いたデヴィッド・S・ウォード。主人公ローリングスを演じるのは、『スパイダーマン』シリーズで知られるジェームズ・フランコ。無鉄砲な青年が“空の騎士”へと成長していく変化を繊細に表現している。時折見せる、はにかむ笑顔が良い。若いパイロットたちを父親のような威厳と包容力で統率するテノー大尉に扮するジャン・レノも好感。また、ルシエンヌ役の新人女優ジェニファー・デッカーが、まさに戦場に咲く一輪の花のごとく可憐だ。
情報量が少ないこともあり、ほとんど映像化され得なかった第一次大戦時の飛行部隊の実状。そこには、機能も強度も優れているとは言いがたい戦闘機に乗り込み、短い青春を散らせた若者たちがいた。大空への憧れ、仲間との絆、命懸けの恋、戦争への虚無感、恐れ、葛藤、そして成長。本作は戦争アクションとしても青春ドラマとしても、実に見応え充分の感動巨編だ。戦いのない束の間に“フライボーイズ”が機上から見下ろした田園風景の美しさが胸に沁みる。
<こだわりポイント!――忠実に再現された戦闘機>
本作で実際に飛ぶフランス軍の“ニューポール17”の1機はフロリダの博物館から、2機はイギリスから運ばれ、そしてその他のレプリカは忠実に組み立てられた。その実物大のレプリカには一から組み立てられた80ccのエンジンが付いている。これらの飛行機は、キットからではなく、オリジナルの設計図から組み立てられたものである。実物大の再現に加えて、製作チームは本物と同じ材料を使って、空中戦のシーンで使用される様々な大きさの飛行機モデルも制作した。その中でも、撃墜王の名で知られるフォン・リヒトホーフェンの愛機“フォッカーDr.1”など、マニア垂涎のドイツ軍戦闘機も完璧に再現されている。
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