ジョイ・ディヴィジョンというバンドをご存知だろうか? 1978年に英マンチェスターで結成され、デビューから瞬く間に絶大な人気を博すも、1980年にヴォーカルのイアン・カーティスの自殺により、たった2年間の活動で解散。その後、残りのメンバーが結成したのが、ニュー・オーダーである。本作『コントロール』は、ロックシーンに多大な影響力を与え続ける伝説のバンド、ジョイ・ディヴィジョンの孤高の“メッセンジャー”、イアン・カーティスの短すぎた青春を描く作品だ。イアンの妻デボラが著した伝記「タッチング・フロム・ア・ディスタンス」が原作となっている。カリスマとして熱狂的な支持を受けるロックスターも、もともとはデヴィッド・ボウイやロキシー・ミュージックに憧れていた一人の少年にすぎなかった。沈滞する70年代イギリス社会の灰色の空の下、鬱屈とした歌詞と激情的な歌い方で若者たちに崇められたイアン。だが、その存在が大きくなればなるほど、夢とはかけ離れた現実の中で彼の心と体は蝕まれていく。1980年5月18日、イアンは23年の生涯に自ら終止符を打つ。ジョイ・ディヴィジョンが初の全米ツアーに旅立つ日の朝だった。本作は、あくまで“普通の人間”として、繊細で不器用だったイアンの内なる痛みを丁寧に描き出している。 監督は、U2、デヴィッド・ボウイ、ローリング・ストーンズ、ビョーク、ニルヴァーナほか、世界のミュージックシーンを揺り動かすアーティストを撮り続け、高い評価を得ているフォトグラファー&映像作家、アントン・コービン。ジョイ・ディヴィジョンのポートレートやPVを手がけイアンとも交友があったコービン監督が、独特の美しいモノクローム映像でフィルムのワンカットワンカットに、カリスマ・シンガーの知られざる哀哭と苦悩を切り取った。本作を、いわゆる“音楽映画”にはしたくなかったというコービン監督。イアンが疾走した儚くも力強い青春のドラマが、ストレートに胸を迫る。また、70年代当時(ジョイ・ディヴィジョンの映像や写真のほとんどはモノクロで、衣装も白黒系だった)の空気感をリアルにするために、全編モノクロにしたそうだ。主人公イアンを演じるのは、UKのインディーズバンド、10000 Thingsのヴォーカルで新人のサム・ライリー。イライジャ・ウッドらビッグネームの若手俳優を抑えて抜擢されたサムは、イアンの悩める魂を、プリズムのように千変万化する陰翳に富んだ表情と全身全霊を注いだ身振りで熱演。外見も驚くほど似ていて、まるで生き写しのよう。妻デボラには、2度オスカーにノミネートされた英国の名女優サマンサ・モートンが扮する。 本作は一言で言えば、実に美しい映画だ。観る者を惹きつけて離さない、静と動のコントラストの美しさ。他の誰でもなく、コービン監督にしか撮り得なかったと言えるだろう。そして、ジョイ・ディヴィジョンを世に送り出し、本作に共同プロデューサーとして貢献した後、昨年8月に他界したトニー・ウィルソンに哀悼と敬意を表したい。
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