INTERVIEW
■早速ですがシングル『風恋歌』のできばえについて教えてください。

香西 ：昨年はデビュー20周年ということもあり、わりとふだんやらないタイプの作品に取り組んでいたので、今回は香西かおりのスタートラインの音楽というものに戻ってみようかなと。ファンのみなさんにとっては安心して聴いていただけるタイプの作品に仕上がりました。

■そうした作品になったのは、昨年の活動が充実されていたからですよね。

香西 ：新しいところに飛び出していくと、一回原点に戻って、刺激になったことや、どこをキープしながらなにを加えていったらいいのかといったことを再確認したりするんです。そこには作家の先生といった方とのいろんな出会いや縁もあって。そういう意味ではほんとうに、いろんなバリエーションで仕事をしてこれたなぁと思います。

■「風恋歌」についてはどんな女性像をイメージされていたのですか？

香西 ：伊豆あたりの風景はみなさんよくご存じだと思うんですけれど、そこにひとつのドラマが重なるとどうなのかなというところを膨らませていきました。決心がつくまでの迷う恋でしょう。あなた次第なのよ、と投げかけているんですけれど、ほんとうは好きでたまらない。もちろん歌のなかの女性ですから、芯はあっても、もしかしたら折れてしまいそうな、ちょっと華奢な部分もあるから、ドラマチックになると思うんです。そうした脆さみたいなものがあるから、「風恋歌」というタイトルにもなっています。

■これからカラオケで歌われる方も多いと思いますが、どんなところを気を遣ったらいいでしょうか？

香西 ：詞の世界観だけじゃなくて、ひとフレーズごとにゆったりした流れのなかで作られているので、とても表情が出しやすいメロディですね。ゆったりした部分は急がないで、リズムのあるところはちゃんとリズムをキープすれば、非常に心地よく歌える作品だと思います。

■カップリングの「倉敷ひとり雨」についても教えてください。

香西 ：いままではおおきな骨組みのメロディが多かったんですけれど、「倉敷ひとり雨」は音符がたくさんあるので、メロディがぶつ切りにならないように、言葉のひとつひとつを繋げていくような気持ちで歌わせていただきました。「風恋歌」とは違って、もう少し幼い、かわいげのある女性の未練ごころを伝えられたらいいなと思いました。

■あらためて今作の制作を通して、ご自身の歌について気持ちを新たにされた点はございますか？

香西：言葉の表現だって自分のなかにないものは出せないし、作品を出すたびに、そこに自分の成長の過程を感じたりするので、一作ごとにとても新鮮さがあるし、新しいものに対してのワクワク感みたいなものがあります。それが今回の『風恋歌』のようないわゆるスタンダードのかたちであっても、楽曲に取り組むときはまっしろな気持ちになれるんです。それをこれからまたライヴで表現していくというところも、すごく楽しみですね。