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谷村新司(たにむら しんじ)
谷村新司(たにむら しんじ)

NEW CAN MAGAZINE FEATURE
その長きに渡る活動の中で、常に私たちに感動と新たな驚きを与えてくれるアーティスト、谷村新司。彼がリリースするニューアルバム『音帰し』は、前代未聞となる公開レコーディングにより、歴代のヒット・ナンバーそして名曲たちが新たな息を吹き込まれた。〈彼のすべてのファンのみなさんへ、感謝の想いを込めて〉という彼の願いが、充実のパフォーマンスの中に豊かに収められている。
 日本を代表するアーティストとして数々のヒット曲を放ち活動を続けてきた谷村新司。あらためて説明するまでもないだろうけれど、70年代にボーカル/ギターの堀内孝雄、ドラムの矢沢透とのトリオ、アリスによりデビューを果たし、シングル・チャートで1位を記録した「チャンピオン」「冬の稲妻」「狂った果実」「美しき絆〜Hand in Hand〜」など多くのヒット曲を発表。バンドの形態であることもあり、フォーク全盛の時代にロック的な激しさ、そして歌謡曲の持つ叙情性やドラマ性をたたえた優れたソングライティングの双方を持つ独自の音楽性により、高い人気と評価を獲得した。アリスはライヴ・パフォーマンスに関しても精力的で日本武道館をはじめとしたおおきなキャパシティにもチャレンジし、解散ライヴとなった1981年の後楽園球場公演など、数々の伝説を残している。
 アリス活動と同時に行っていたソロにおいても、山口百恵に提供した「いい日旅立ち」などアーティストへの楽曲提供なども含め活動を行い、「昴」「群青」「サライ」などの名曲を発表し続け、アーティストとしての確固たる存在感を築き上げた。また、早くから中国をはじめとしたアジアへ視野を向けた活動を行っており、アジアでの日本のポップスの浸透に果たした功績は計り知れない。
 そんな彼が今回、スペシャルな企画のアルバムをリリースした。『音帰し』(オンガエシ)は、サブタイトル〈リクエストライヴ・アルバム〜The ゲネプロ〜〉にあるように、ファンからの多くのリクエストにより選ばれた楽曲で構成されている。しかもそのナンバーを、100名のオーディエンスの前で一発録りによる公開レコーディングを敢行。こうしたレコーディング形態こそ、長きにわたる活動の中で、常にチャレンジングな活動を続けてきた彼らしい、彼でしかなし得ないスタイルだと思う。〈自分の楽曲を愛し続けてくださっている多くの人達に「恩返し」をしたい〉(ライナーノーツより)そうした彼の情熱により実現したこの貴重なプロジェクトは、谷村新司という唯一無二の存在のシンガー・ソングライターの偉大さをあらためて提示する作品となった。
 アリス時代からソロに至るまで、30年以上に及ぶ活動を網羅するまさしくオールタイム・ベストと呼べる選曲には、どれだけの人々が彼の音楽に癒され、励まされ、勇気をもらい、涙してきたか、その思い入れの深さが確かに刻まれている。彼の音楽に映される少年のような叙情性、そして大人でなければ解らない苦みを持った愛情、様々なせつなさや葛藤は、聴く人それぞれの心に染みこみ、ひとり一人のストーリーとして完成していく。強い個性を持った曲というのみならず、そうした懐の深さを持つソングライティングだからこそ、谷村新司の楽曲は永遠に愛され続けるのだろう。
 その珠玉の名曲たちを、ファンの前であらためて公開レコーディングを行うという作業は並大抵の意思では不可能だったはずだ。それを彼は、持ち前のジェントルなパーソナリティと圧倒的な技量を持って、再び銀盤にその感動を封じ込めている。一発録りならではの臨場感が最も現れている瞬間が、12曲目の「明日への讃歌」だ。当日までサプライズであった、堀内孝雄、矢沢透を迎えてのアリス復活!3人の友情により実現したこの貴重な共演には言いようのない興奮を覚えるが、あらためてこのトライアングルにはマジックが働いているとしかいいようのない、素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれる。こうしたファンへの心からのプレゼントも用意され、アルバムはほどよい緊張感とともに、そのスケールの大きな歌声をたっぷりと堪能することができる内容となっている。なお今回、1981年に活動を停止して以来実に20年ぶりに行われた2001年の全国ツアー最終公演の模様を収録したDVD『ALICE LIVE 2001 2001 WE ARE HERE at 大阪城ホール』も発売されたので、こちらもぜひチェックをしてみてほしい。
 また未発表曲部門のリクエストでナンバーワンを獲得した「今ありて」は阿久 悠作詞による1993年の選抜高校野球大会の大会歌として愛されてきた楽曲で、選抜大会の第80回大会記念となる今年、新たに甦ることとなった。シングルとしてもリリースされるこの楽曲の待望の音源化以外にも、アルバムのトピックとしてご紹介したいのがアートワーク。なんと『北斗の拳』作画で知られる漫画家・原 哲夫による書き下ろしがフィーチャーされており、あの原 哲夫漫画に登場するキャラクターさながらのタッチにより、新たな(?)谷村新司像が描かれているところにも注目していただきたいところだ。
 『音帰し』には、谷村新司という人間のキャパシティの深さ、人への温かい眼差し、そして音楽に対する飽くなき追求心が通して流れている。その思いが、彼の楽曲を普遍的な存在にしている理由なのだろう。その圧倒的なキャリアから、カリスマ的な扱いをされても不思議ではないはずなのに、谷村新司の曲はいつでも、私たちのそばにいてくれる──まるで自分の目の前でプライベートなライヴを催してもらえているような親密な空気感を持つこのアルバムには、彼の表現者としての真髄が詰まっているのだ。
Text:New Can Magazine編集部
RELEASE
『音帰し』リクエストライヴ・アルバム〜Theゲネプロ〜
『音帰し』
IOCD-20240 ¥3,000(税込)
avex io 発売中
01.チャンピオン
02.22歳
03.今ありて
04.心の駅
05.いい日旅立ち
06.遠くで汽笛を聞きながら
07.陽はまた昇る
08.愛
09.群青
10.昴 ―すばる―
11.サライ
12.明日への讃歌
13.忘れないで
『今ありて』『今ありて』
IOCD-20248 ¥800
avex io 発売中
『ALICE LIVE 2001 2001 WE ARE HERE at 大阪城ホール』『ALICE LIVE 2001 2001 WE ARE HERE at 大阪城ホール』
IOBD-21043 ¥4,800(税込)
avex io 発売中
PROFILE
谷村新司(たにむら しんじ)
1971年、堀内孝雄とアリスを結成。1972年3月、『走っておいで恋人よ』でデビュー。5月に矢沢透が参加。「帰らざる日々」「冬の稲妻」「チャンピオン」など数多くのヒット曲を出し、1981年活動停止。
ソロ活動としても、「いい日旅立ち」「昴」「サライ」など、日本のスタンダード・ナンバーともいえるヒット曲を世に送り出す。
http://www.tanimura.com
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