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山沢大洋(やまざわ・たいよう) 山沢大洋(やまざわ・たいよう)

数々のヒット作を手掛けた重要人物が満を持して表舞台へ
プロデューサー、作曲家、レコード会社ディレクターとして、木村カエラ、時給800円、神話(SHINHWA)、SMAPなど、数々のヒット作を手掛けてきた山沢大洋が、自らの名義としては初となるアルバム『山沢大洋 presents music tree』をリリースした。今作では彼の豊富な人脈を活かし、幅広いシーンのアーティストとコラボレート。木村カエラ、DEPAPEPE、Rie fu、山本朝海、依布サラサといった気鋭の若手から、近藤房之助、岡村靖幸、夏川りみ、椎名純平といった実力派までが参加したほか、岡村靖幸がヴォーカルを務めた「people」は、Elvis Woodstockことリリー・フランキーが作詞。さらに海外からは、70年代に「名前のない馬」で全米1位を獲得したバンド、アメリカのジェリー・ベックレーや、ファンクの帝王ジェームス・ブラウンを長年バックで支えたJB'sのリーダー、フレッド・ウェズリーとのコラボが実現。さらには1996年に惜しくもこの世を去ったヒップホップ・レジェンド、2PACの楽曲を、日本ヒップホップ界の雄であるGAGLEのMC HUNGERと時代を超えた形でコラボさせるという斬新な作品も収録。ジャンルも世代も国境も飛び越え、山沢大洋という太い幹を中心に、様々に枝分かれした『music tree』が完成した。

 これまで、裏方としての活動を中心にしてきた彼は、今回の作品に至った経緯を、「おこがましいですよね」と付け加えた上で、こう語ってくれた。

「どこかから女の子を連れてきて、後ろで鍵盤を弾いてギャラをもらって、っていう形もできたと思うんですけど、いまさらそれをやる意味があるのかな?って思ったんです。ここ何年かCDのセールスに活気がなくなってきていて、そういうときだからこそ、自分が役に立てることはないのかなぁと思ったときに、僕ってことよりは、いろんなジャンルの人に集まってもらったほうがいいんじゃないかと。例えば、カエラちゃん目当てだった人が、夏川さんの歌を聴いて“なんて歌がうまいんだろう!”って思ったり、近藤さんの歌を聴いて“こんなすごい人がいるんだ!”って思ったり。反対に上の世代の人は、若い人のエナジーを感じてもらって、相互理解みたいなものが生まれればいいなと」

 話しているだけで音楽への深い敬愛がヒシヒシと伝わってくる温かい人柄は、作品のほうからも随所に伝わってくる。どの楽曲にも共通しているのは、過去の素晴らしい音楽へのリスペクトと、いまを生きる人たちへのメッセージ。ジャンルも世代も国境も越えて、これだけ個性の強いアーティストたちが参加しながらも、ひとつの作品としてまとめあげることができたのは、深い“音楽愛”あってゆえのことだろう。

「いまの時代とかいまの産業が、生活の中で人が求めているものをちゃんと提示できているのかな?っていう疑問があって。旬なものとか、人が求めてるものって、重々わかっているつもりではいるんですけど、こみ上げるものを作りたかったんです。僕は近藤房之助さんのマネージャーとして日本中をツアーしたことがあって、お客さんがどうしたらどう盛り上がるかっていうのをずっと見てきたんですけど、やっぱりここ(ハート)が大事な気がしたんですよね」

 その“こみ上げるもの”という点においては、各アーティストのそれもさることながら、山沢自身がヴォーカルを務めた「管」は、一際強い存在感を放っている。ダイレクトな言葉が強いインパクトを残しながらも、その歌声、サウンドはやさしさに溢れ、どんな状況下でも安心して身を委ねることができる、そんな包容力が満ち満ちているのだ。

「生まれて初めて作詞をした曲で、おふくろが死んだときのことを書いているんですけど、思い出を何もこぼしたくないなと思って、改めておふくろが入院していた病院まで行ったんですね。ただ、全部忘れないつもりでいても、こぼれちゃうことがあるんです。それで、自分にも家族ができて、子供ができて、新しい人生をサポートする側に回るときに、そのこぼれただろうことをどうしても形にしておきたかった。そういうことをずっと自分の中で考えていたら、どんどん言葉が簡単になっていったんですよね。もちろん自分の人生をぶつけている曲ではあるんですけど、例えば満員電車に乗って、ふと周りの人を見たときに、同じ1秒の中に壮絶な生活とか、信じられないようなことが起こっている人って、山ほどいると思うんですよ。その人たちにとっても、究極なことは簡単な言葉になっていくと思うんですよね。“死にたい”とか“辛い”とか“悲しい”とか。人に怒りをぶつけるときに、“昨日も何時になんとかかんとかで〜”とか言いませんよね。やっぱりシンプルになっていくんです。この「管」に関しても、結果的に“ありがとう”とか、そういう言葉が抜けてくるような曲になったかなと思います」

 このスペースではとても収まりきらないほど、少しでも多くのことを伝えようとしてくれた彼は、取材中に“責任感”という言葉を何度も口にした。作品を聴けばわかっていただけると思うが、彼はこれまで自身が音楽を通して得てきた素晴らしい体験の数々を、より多くの人に伝えたくて、それは音楽の恩恵を受けてきた人間の義務でもあるのだと思う。この『music tree』から伸びた枝が、読者の皆様のもとまで届くことを心より願います。
Interview & Text:タナカヒロシ
RELEASE
『山沢大洋 presents music tree』『山沢大洋 presents music tree』
COCP-34572 ¥3,150(税込)
コロムビアミュージックエンタテインメント
発売中
  1. Stay with me Vo:山沢大洋
    作詞:武内和之/作曲:山沢大洋/編曲:武藤星児
  2. birdie Vo:木村カエラ Ag:DEPAPEPE
    作詞:武内和之/作曲:山沢大洋/編曲:武藤星児
  3. people Vo.岡村靖幸
    作詞:Elvis Woodstock(リリー・フランキー)/作曲:David/編曲:武藤星児
  4. Flower of Love Vo:Gerry Beckley(AMERICA)
    作詞:Rie fu/作曲:山沢大洋/編曲:武藤星児
  5. 管 Vo:山沢大洋
    作詞・作曲:山沢大洋/編曲:武藤星児
  6. ヘリオトロープ Vo.山本朝海
    作詞:山本朝海&Kevin/作曲:山沢大洋/編曲:武藤星児
  7. Baseball Life Vo:依布サラサ
    作詞:依布サラサ/作曲:山沢大洋/編曲:武藤星児
  8. happiness!!!(Instrumental)
    作曲:山沢大洋/編曲:泰輝(木村カエラの2ndシングル曲をジャズ・インストでカバー)
  9. Panther Power(Overseas Mix) 2PAC meets MC HUNGER(GAGLE)
    編曲:岡雄三(2PACの楽曲をリミックス)
  10. Lovin' you, lovin' me Vo:山沢大洋 Tb:Fred Wesley(JB's)
    作詞:Kevin&山沢大洋/作曲:山沢大洋/編曲:岡雄三
  11. 歌人 Vo:夏川りみ
    作詞:三浦徳子/作曲:山沢大洋/編曲:泰輝
  12. Ghetto Japan Vo:椎名純平
    作詞:椎名純平/作曲:山沢大洋&岡雄三/編曲:岡雄三
  13. Magic in your touch Vo&Gt:近藤房之助
    作詞・作曲:Ray Kennedy/編曲:武藤星児(KGBカバー)
PROFILE
山沢大洋(やまざわ・たいよう)
東京生まれ。幼少期から兄の影響でビートルズ、モンキーズを中心に幅広い音楽を聴く環境で育つ。後に近藤房之助のマネージャーとなり、日本中をひたすらツアーする生活を送る。その後、レコード会社のディレクターとしてSMAP、orange pekoe、時給800円、河村隆一などを担当。2004年に独立。木村カエラのブレイク作「Level42」「happiness!!!」の作曲、プロデュースに携わるなど、いま最も注目を集めているプロデューサーの一人である。
http://columbia.jp/taiyo/
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