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何気なく流れてきた歌を聴いて、ふと「いいな、この歌。誰のだろう?」と歌い手に興味を持つ。それは、純粋に歌声、歌詞、音楽の魅力によってリスナーの心に触れる瞬間であり、そうありたいと考えるアーティストも多いことだろう。
中西保志は、その力を持ったアーティストの一人である。90年代前半、有線での熱い反響でブレイク。“天が与えたヴォーカル”と評される抜群の歌唱力が冴え渡った代表曲「最後の雨」は、90年代を代表する名曲として今も長く愛され続けている。40代半ばを迎えた今、ヴォーカリストとしての真摯な取り組みと、話好きな人柄が歌声に更なる深みをもたらしているようだ。透き通る穏やかなバラードが、癒しを求める現代の大人たちを惹きつけてやまない。
そんな彼がこの冬、前作『スタンダーズ』に続き、懐かしの名曲から近年の大ヒット作まで、90年代を中心にJ-POPの名曲をカバーする『スタンダーズ2』をリリース。あの歌声で大好きな曲が聴ける……、彼の魅力を知る者には、あまりに嬉しいニュースなのだ。早速そのコンセプトを聞いてみた。
「桑田佳祐さんを始め、それぞれの曲にはオリジナル・アーティストの素晴らしい個性がありますが、僕はその個性を敢えて取り払って、その曲が純粋に作品として素晴らしいことをもう一度感じて欲しい。80、90年代ポップスって、その時代の人の空気に完全に合致するんじゃなくて、“少し触れる”。だからこそ今聴いても共感できて色褪せない、いい曲の多かった時代だと思います」
名曲を1つの作品として浮かび上がらせる、その意味において彼はまさに適任だろう。彼の音楽と人への愛は、“もっとみんなに音楽を楽しんで欲しい”という想いに結実しているのだから。
「どっからどう聞いても男声の僕が、女性の歌を多く歌っているのも今作の面白み」と中西が言うように、「ハナミズキ」も「SWEET
MEMORIES」もけっして常人離れした高いキーでは歌われない。しかし原曲の本質を損なうことなく、新たな魅力を放っている。それは“男性が歌うなら、こう歌ったらどうかな?”といったお手本にも聴こえる。
「そんな風にとってもらえたら最高です。たくさんの人に聴いてもらいたいし、歌ってもらいたいですからね」
現在、ホールでのライブはもちろん、ライブハウス、商業施設など、人々が何気なく音楽を楽しめる場所でも定期的にコンサートを開催している中西。
「大きなライブに行くのもいいけど、普段の生活の中でもっと気軽に音楽を楽しんで欲しいんです。音響設備がいいところばかりじゃないけど、それでも伝えることは出来るから」
その人柄がなせる優しく穏やかな歌声は、ストレスに凝り固まった心さえも解いてゆく。中西保志が長く支持されるその理由、この機会に感じてみてはいかがだろう。 |
Interview &
Text:吉田大悟 |
RELEASE |
『スタンダーズ2』
TKCA-73261 \3,000(税込)
徳間ジャパンコミュニケーションズ
発売中
01. SWEET MEMORIES(作詞:松本隆 作曲:大村雅朗)
02. ワインレッドの心(作詞:井上陽水 作曲:玉置浩二)
03. 恋するカレン(作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一)
04. 夜空ノムコウ(作詞:スガシカオ 作曲:川村結花)
05. Piece of My Wish(作詞:岩里祐穂 作曲:上田知華)
06. 涙のKISS(作詞・作曲:桑田佳祐)
07. 接吻Kiss(作詞・作曲:田島貴男)
08. ハナミズキ(作詞:一青窈 作曲:マシコタツロウ)
09. 駅(作詞・作曲:竹内まりや)
10. I LOVE YOU(作詞・作曲:尾崎豊)
11. SAY YES(作詞・作曲:飛鳥涼) <ボーナストラック:中西保志オリジナル曲>
12. サヨナラが待っている(作詞:前田たかひろ 作曲:中西保志)
http://www.y-nakanishi.com/
http://www.tkma.co.jp/tjc/j_pop/nakanishi/
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