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矢野絢子

矢野絢子

愛に必ず付属する ”なぜ“という疑問は自分で見つけるしかない
その圧倒的な存在感を放つ“うた”は、彼女が活動拠点としている地元・高知でのライブに足を運ぶファンも少なくないというほど衝撃的。ジャンルや世代を飛び越えて評価されている稀有なシンガー・ソングライター、矢野絢子が9月19日に4枚目のフル・アルバム『あいのうた』をリリースする。本作は、彼女の独自の視点から愛を捉えた奥ゆかしきラヴソングたちが収められたコンセプト・アルバム。今日も高知で音を鳴らしているであろう彼女に、メールでインタビューをさせてもらった。
INTERVIEW
■今作は『あいのうた』というタイトルになっていますが、アルバムの方向性を決めるきっかけとなるような出来事はありましたか?
矢野:特にきっかけがあったわけではないですが、何となく、愛の歌つまりラヴソングをテーマとした作品が今までなかったので、作りたいと思いました。

■タイトルは『あいのうた』ですが、一般的な愛の表現とは少し違った愛を歌っていると思いました。要は幸せな愛の形を歌った曲がない、ということなのですが、矢野さんが『あいのうた』というタイトルに込めた意味は?
矢野:私が思う『あいのうた』ですので、一般的かどうかは私には判断しかねますが、私にとってのラヴソング、私が歌えるラヴソングが今こういう形で作品になりました。自分は思っていないことを歌えないので、あまり偏った気持ちは歌にならないし、“幸せの最中”を歌にするのが難しいです。別れの歌は私のほかの作品にも多いです。当たり前のように。

■矢野絢子が歌うべき“愛”とは、どのような“愛”だと思いますか?
矢野:“べき”というと分かりませんが、歌いたいと思うのは嘘のない愛。慈しみ。です。

■アルバムの節々のキーワードを拾うと、矢野さんと音楽との関係性を歌っているような気もします。ご自身ではどう思われますか?
矢野:そうかもしれません。私は殆んど実話を元にした歌を描かないので、(無意識に参考にしている場合を除いて)私と、私の身近にあるたいせつなもののことを描くことになります。だから、歌と私というふうに聴こえるのかもしれません。

■リード曲になっている「愛の迷路」は、サウンド的にはアップテンポですが、愛に対して非常に悲観的な歌に聴こえます。この曲について少し説明をいただけますか?
矢野:この曲は私が以前から描きたかった愛の落とし穴について描きました。愛に付属する暴力のこと、を歌っています。愛に必ず付属する“なぜ”という疑問は自分で見つけるしかないし、人をほんとに救う事が出来るのは一番側にいる人の愛だということ。

■矢野さんの歌からは、もがきながらも前へ前へ、というような力強さを感じます。その力強さの原動力は何だと思いますか?
矢野:人が生きようとするときに生まれる摩擦。

■今作はピアノ弾き語りもありながら、バンド・サウンドのものや、ピアノを使っていない楽曲もあって、サウンドのバリエーションが幅広くなったと思うのですが、サウンド作りはどのように進められたのでしょうか?
矢野:今までと全く違った方法で作りました。最初に大まかな曲ごとのアレンジや方向性を皆で話し合って。特に今までと違ったのはピアノと歌を別々に録ることや、リズムマシーンにあわせてピアノを弾くこと、それにサウンド・プロデューサーの島田昌典さん(※1)がつけてくれた楽器のアレンジを皆で確認して選んで、決めてゆきました。全部バンド・サウンドにするつもりはありませんでしたが、バンドが多くなりました。ピアノなしの曲は島田さんからの提案で「あ、いいかも」と思って決めました。

■島田さんとの音作りでは、何かキーワードになる言葉はありましたか?
矢野:それぞれの曲で私からのリクエストなどを島田さんに伝えて、それぞれ仕上げていただくのですが、全体的なキーワードは“うた”をどれだけ自然に前に出せるか、ということ。

■ピアノメインの曲とそうでない曲はどのような基準で分けられたのですか?
矢野:私の曲にはピアノのフレーズが効いてる曲と、伴奏のみの曲があります。フレーズのある曲はそれを元にアレンジしていくのでメインになってゆきます。伴奏のみの曲は他の楽器でカバーして行くのでピアノはベースの伴奏になってゆきます。

■矢野さんにとってピアノという楽器はどんな存在ですか?
矢野:頼もしい馬。

■特にバンド・サウンドでアレンジされた楽曲は、相乗効果で歌がよりドラマティックになったと思うのですが、ご自身の歌の聴こえ方に変化は感じますか?
矢野:歌がうまく聴こえてほくそ笑んでます。

■現在も活動拠点の「歌小屋の2階」(※2)でレギュラー出演をされていますが、ずっと同じ場所でライブをされていて、ご自身の心境や周囲の状況が変化したと思う部分はありますか?
矢野:常に跡形も無く私は時の流れと共に変わってゆき、回りの人たちも跡形も無く変わってゆくものだと思います。そうでない人たちもいますが、私の身近のものはみんな絶えず変化しています。見えたり見えなかったりする。

■高知を活動拠点とすることは、より多くの人へ届けるという意味では不便も多いと思うのですが、矢野さんはご自身の音楽をどのように届けたいと思いますか?
矢野:東京の会社の人と会議をしたり話し合いを進めたりするのに不便なだけで、音楽をやるうえでの不便は一切ありません。ここを離れて音楽を続ける不便さの方が大きいです。私の歌は私が歌う場所で聴いてくれる人たちに直接届けられるし、作品となって全国に届けることのできるCDについては、協力してくれるスタッフの人たちといいものをどんどん作ってゆくことに専念すればよいと思います。

■音楽活動を続けていく中で、今作は矢野さんにとってどんな作品になったと思いますか?
矢野:まだわかりません。なんにしてもそれがわかるのは今ではないと思います。しかし皆さんの反応がとても楽しみです。

■今後の活動予定は?
矢野:全国ツアーを9・10・11月に行います。そのほかは通常通りのライブ活動、来年は例年になくたくさんCDを作ろうかなあと思っています。
(※1)島田昌典……aiko、真心ブラザーズなどのサウンド・プロデュースをはじめ、数々のアーティストを手掛けるプロデューサー、アレンジャー。
(※2)歌小屋の2階……矢野が1999年にミュージシャン仲間と共に立ち上げたライブハウス。現在もレギュラー出演を続けている。[http://utagoya.net
Interview & Text:タナカヒロシ
PROFILE
矢野絢子(やのじゅんこ)
1979年、高知生まれ。フォーク・デュオ“モナカ”での活動を経て、2001年よりソロ・ライブをスタート。2003年9月に軽井沢ラヴソングアウォードでグランプリを受賞し、翌年5月に「てろてろ」でメジャー・デビュー。ピアノ弾き語りを基調に、強烈な個性を持った“うた”で唯一無二の存在感を放つ。現在も高知に在住し、ライブハウス「歌小屋の2階」で定期的にソロ・ライブを行っている。
http://www.yanojunko.net
RELEASE
矢野絢子 『あいのうた』矢野絢子 『あいのうた』 9月19日発売
VRCL 2504 ¥3,000(税込)
Green Drop Label
発売元:(株)ヴィレッジ ミュージック
販売元:(株)ソニー・ミュージックディストリビューション
01. あいのうた〜prologue〜
02. 愛の迷路
03. 笑顔
04. 青い煙
05. 札付き
06. 丘
07. 背中
08. カーテンコール
09. 瞳の中に
10. 恋
11. 最後の冬
12. あいのうた〜epilogue〜

■レコード会社直営♪サウンド で「着うた(R)」配信中!
http://recochoku.jp/junkoyano/
LIVE
09月07日(金)大阪・吹田 5thストリート
09月08日(土)東京・ジュンク堂新宿店
*短歌詩集『かなしみと呼ばれる人生の優しさよ』 出版記念トークショー&サイン会
09月09日(日)東京・代官山 晴れたら空に豆まいて
09月15日(土)高知・歌小屋の2階
09月23日(日)高知・歌小屋の2階
10月05日(金)東京・代官山 晴れたら空に豆まいて
10月07日(日)神戸・バックビート
10月08日(月・祝)神戸・バックビート
10月21日(日)高知・中村 シルバー
11月03日(土・祝)三重・亀山 月の庭
11月05日(月)名古屋・パラダイスカフェ
11月06日(火)名古屋・パラダイスカフェ
11月10日(土)愛媛・松山 モンク
11月11日(日)香川・高松 SPEAKLOW
(問)十二月舎 088-852-5532
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