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恋愛も音楽も、ひとりよがりでは成り立たない
真摯で誠実なラヴソングが話題沸騰中!
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INTERVIEW |
前号でも表紙で登場してくれたDEL(デル)のファースト・ミニ・アルバム『ひとひら』が好評だ。季節と恋愛という切っても切り離せない関係を歌い上げた同作は、DELの溢れる情緒と甘い歌声によって素敵な気持ちにさせてくれるラヴソング集。ここでは、前号で紹介しきれなかった彼のラヴソングに対する誠実な想いをさらに掘り下げたいと思う次第。「ラヴソングをいっぱい聴いて感動して、今度は僕がそういう感動を与えたい」と言う彼にとって、"ラヴソングを歌う上で一番大切なこと"とは一体何なのか?
「難しい質問ですけど、やっぱりいっぱい恋愛経験をしていることも大きいんじゃないかと思います。例えば、〈愛してる〉っていうワンフレーズでも、いろんな歌い方ができるじゃないですか。五文字の発声の仕方とか、最後の声のかすれ方とか、そういうのってもちろん歌っている瞬間瞬間で僕の中でも何パターンもあるんですけど、それって僕が生きてきて、愛っていうものに費やした時間や方法によって、他の人とは絶対に違うわけですよね。極論を言っちゃうと、ヴォーカリストって、一文字一文字の発声にどれだけ自分の人生経験を反映して表現できるかではないかと最近特に感じています」
実はこの後、どんどん話をヒートアップさせ、延々と語ってくれたDEL。それだけでも彼のラヴソングに対する誠実な想いはひしひしと伝わってきたわけだが、そんな彼が本作中、最もグッと来た瞬間について、こう語ってくれた。
「6曲目の「冬凪」に〈肩を抱き寄せた〉っていうフレーズがあるんですけど、そこは何度CDの音を聴いても"いいのが歌えたな!"と自分なりに納得して、いつも、"やれた!"と思っていても、後で聴き返した時に全然よくなかったりするケースがあるんですよ(笑)。ひとりよがりになってしまっている瞬間があると思うし。僕がどれだけ肩を抱き寄せたいと思って歌っていても、そこは聴き手が答えを出してくれるものですからね。また、それとは逆に僕が気にも留めていないフレーズを"いいな"と思ってくれる人もいるかもしれないし。聴き手がどう受け取るかが唯一の答えだと思うので、だからこそ、伝えたい思いを心に込めて、これからも歌い続けていこうと思います」
歌い手だけでは成り立たない、聴き手がいて初めて成り立つ――彼のその言葉は、"歌い手と聴き手"の関係を、まるで恋愛における"男と女"の関係になぞらえているようで非常に興味深い。そんな想いを持って歌っているからこそ、彼のラヴソングはやさしく心に響いてくるのだろう。恋愛も音楽も、ひとりよがりでは成り立たないのだ。
「僕の歌を聴いて、自分の恋愛を思い返してくれたり、"代弁してくれた"みたいな瞬間をひとつでも感じてもらえたら最高ですね」
ラヴソングに恋をしてしまったDELは、気まぐれな"聴き手"を振り向かせるために、真摯に歌い続けていく。 |
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