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鈴木雅之

 
〈最新〉の鈴木雅之を見せるんじゃなく、 〈最高〉の鈴木雅之を見せる
移り変わりの激しい音楽シーンにおいて、四半世紀にわたり独自のラヴソング道を切り開いてきた鈴木雅之。
ニュー・アルバム『Champagne Royale』(シャンペーン・ロワイヤル)は、昨年のゴスペラッツの活動であらためてヴォーカル・グループのハーモニーの力を見せつけた彼の、ソロ・ヴォーカリストとしての深みを堪能できる内容だ。松尾潔をプロデューサーに迎え、川口大輔や浅田将明ら若手から売野雅勇/筒美京平や松井五郎/玉置浩二コンビといったベテラン陣まで、幅広い世代の作家・ミュージシャンとのコラボレーションにより完成した今作は、あのグラスに輝く黄金の泡のように美しい光を放っている。

■最初に前のアルバム『Ebony & Ivory』以降、今回の制作に至るまでをお伺いしたいのですが?

鈴木:『Ebony & Ivory』は言ってみれば、グループでデビューして25年で、ひとつの区切りをつけながらも次のステップへ進むという意味合いがあって。それとソロ・デビューが1986年だから、ちょうど去年はソロ・デビューとして20年という節目みたいなものもあった。俺けっこうアニバーサリー好きだから(笑)。そうした活動のなかで、サプライズ的にゴスペラッツを期間限定的に結成したのにも、ラッツ&スターの低音ヴォーカリスト佐藤善雄がファイルレコードでゴスペラーズを見出して、プロの道に導いたっていう経緯があるからね(※佐藤氏は現株式会社ファイルレコード代表取締役社長)。

■ではゴスペラッツは本当に偶然じゃなくて必然だったんですね。
鈴木:そうなんだよ!いつも言う通り、音楽の神様は本当にいるからさ。それをキャッチできるかできないかで。できない人もたくさんいるんだよ。シャネルズでデビューして、ラッツ&スターと変化しながらもグループとしての楽しみ方を味わってきた。ソロ活動が始まってからは、ラヴソングという定義を自分なりの解釈で届けてきて、それも全部間違いなく音楽の神様による後押しがあって、それを自分が体現してくることができたから、結果として残してきてるんだろうなっていう思いはすごくあるからね。

■ゴスペラッツでヴォーカル・グループとしての完成形を提示できた気持ちから、今回のソロ作品へ気持ちがシフトしてきたという感じでしょうか。
鈴木:そうだね。ただやっぱりそれとともに、俺自身が1986年にソロ・デビューして、1996年にラッツ&スターを再集結させて「夢で逢えたら」っていう曲を歌って、今度は2006年にゴスペラッツという形でサプライズを起こし、言ってみれば鈴木雅之は10年タームでなにかを成し遂げてこれているのかもしれないなと。そうするとやっぱり、『Champagne Royale』は鈴木雅之の第3章の始まりであるという意味のほうが強いんだ。

鈴木雅之■その新たなスタートのパートナーとしてお仕事をされたのが、プロデューサーの松尾潔さんだったということですね。
鈴木:松尾はね、彼がライターとしての活動のほうがメインの頃からずっと知ってたし。そんななかで“いつか一緒にやりたいな”ってことは10年くらい前から話はしてたんだ。アルバム的なプロデュースっていうのは、ファースト・アルバム(『Mother Of Pearl』/1986年)で大沢(誉志幸)に下駄を預けた以降は、俺とプロデューサーの小林和之(※現EPICレコードジャパン代表取締役)でともに歩んできたわけだから。もう一回原点に戻るじゃないんだけど、ヴォーカリストっていう部分を前面に掲げながら、第三者的な人にプロデュースしてもらいたかった。松尾ともよく〈最新〉の鈴木雅之を見せるんじゃなく、〈最高〉の鈴木雅之を見せる、ということを話し合ったんだよ。そういう意味では戦友みたいな気持ちで、今回あえて松尾のスタッフを中心に使ったんだ。彼のキャパシティにはいろんな人脈があるからね。新しいプロジェクトのプロダクションを通して俺自身が作り上げる、鈴木雅之のトリビュート・アルバムみたいな感じかな。

■実に多彩な楽曲が揃っていますが、ご自身のヴォーカル・スタイルにも新たな発見はありましたか?
鈴木:時代によってアンサンブルを変えていったり取り込んでいったりするのも嫌いじゃないんだけど、〈流行りものに走ったら絶対ダメだ〉っていうのは、俺のなかで座右の銘に近いくらいであるんだよ(笑)。シャネルズの頃からちょっとシャウター系できていた鈴木雅之が、ソロになり、いろんなラヴソングというカテゴリを自分流に置き換えていくなかで、時としてウィスパーすることもソウルなんだということを学んでいったりもした。でも“やっぱりマーチンさんにはそこでがっつり口説いてほしい”(笑)って言われた時に、“そういう俺も確かにいたな”っていうのも再確認したっていうか。参加してくれたみんなが、鈴木雅之っていうものを通して、もう一度提示し直してくれたところが大きかったかもしれない。筒美京平さんの曲を歌って欲しいっていうリクエストもあれば、20代のミュージシャンのライティングによる曲もあって。やっぱりね、例えば“ラヴソングという名のカクテルに酔いしれて欲しい”とずっと言い続けてくると(笑)、そうするとだんだん〈鈴木雅之のラヴソング〉として固定観念で見られたりとかするところもあると思うのね。でも俺は意外ともう少し柔軟に、その時の一番いい方法論を自分のなかでチョイスする自信はあるよね。それは何だろうって思うと、きっと作り上げる想像力なんだと思う。

■前作の『Ebony & Ivory』が、クールで洗練された鈴木さんの集大成だったとすると、今作は島谷ひとみさんとデュエットされた「ふたりでいいじゃない」をはじめ、いい意味で歌謡テイストの楽曲も含まれていますよね。
鈴木:そうだね。だから自分の引き出しの中で一番取りやすい、洗練されている部分で何かを作るっていうところに自分の身を25年間置いて、今回は引き出しの一番端の部分を開けさせてもらったみたいなものだね。ラヴソング・マジックがあったはずのパンドラの箱みたいな(笑)。

■その〈愛についての歌〉っていうのは、鈴木さんの音楽のなかで通底した要素だと思うのですが、今回の制作を通して鈴木さんにとってのラヴソングの定義は変わってきましたか?
鈴木:いや、変わらないね。やっぱり普遍的なものであると。それとともに、安っぽい言い方をすると、ラヴソングに対する思いは年中〈夢求〉(笑)。そういう思いを確認した。行き着くところはないんだね。いろんな恋愛観はあるし、いろんな恋愛をしている人たちがたくさんいるし、その人のテーマソングになりえるようなものっていうのは星の数ほどあるんだもの。だからやっぱりラヴソングという定義で愛のメッセージを届けるっていうことは、たぶんずっとこれからもやっていくだろうけど、その最高のものを届けたいって思いで、たぶんこれからの10年も過ごす気ではいるよ。
DISC INFORMATION
鈴木雅之『Champagne Royale』鈴木雅之『Champagne Royale』
ESCL 2919 \3,059(税込)

EPICレコードジャパン 3月7日発売
01. My Sweetness
02. ふたりでいいじゃない 〜album ver.〜
03. 53F
04. Champagne
05. 六本木慕情
06. NOTHING'S GONNA CHANGE MY LOVE FOR YOU
07. フラッシュバック
08. いびつな夜
09. &You
10. GAME OVER
11. 放浪春秋
鈴木雅之&島谷ひとみ『ふたりでいいじゃない』鈴木雅之&島谷ひとみ『ふたりでいいじゃない』
ESCL 2926 \1,223(税込)

EPICレコードジャパン発売中
LINK
http://www.martin.co.jp

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